吹奏楽のクラリネットの魅力
中学でクラリネットを始め高校まで吹奏楽で吹いていました。中学では最初は帰宅部だったのですが、吹奏楽部の顧問の音楽の先生から、吹奏楽部に入らないか?と誘われて入ったんです。全然楽器の事はわかりませんでしたが、やるなら花形トランペットと、心に決めていました。しかし、トランペットは、もう満席で、数はなんぼあってもいいクラリネットをやれと先輩からいわれて、仕方なくやりはじめました。はじめは、いやいやだったものの、だんだん面白くなってきて、そのうちハマってしまいました。なぜかこの歳までやっているのですもの・・。吹奏楽では、なんといっても、仲間が多い。数で勝負。演奏中少しくらいサボっても分からない。出来ないところは先輩におんぶにだっこ。などなど、それも、数が集まると単純に足し算ではなくなるのがすごいところ。10本も集まれば、1本で吹く音色とは全然別物になります。これが、一番の魅力でしょうね、たくさん集まったときの、あの艶やかな音色、たまりません。はじめは軍楽隊からはじまった吹奏楽でオーケストラの弦の役割をになってきたのですが、メロディを演奏したり、嵐の中の風をイメージする早い半音階を吹いたり、細かいパッセージをやったりと、休む暇もないですね。
オーケストラにおけるクラリネット
大学ではオーケストラに入りました。入部の時には、クラリネットは足りてる(そもそも古典派の曲なんかは無いかあっても2本ですものね)のでバイオリンをやれということでしたが、なんとか喰い下がって、クラリネットの席を確保しました。吹奏楽との大きな違いは、パート1本だということです、あたりまえですが。まず、はじめは当然先輩が1番クラで、2番クラをやりました。思ったのは、隣にファゴット、前にオーボエとフルートがいて、木管アンサンブル的な部分が多いなあという事でした。そのうち、1番をまかされて、だんだんわかったのは、クラリネットはオーケストラではメロディ楽器じゃないという事です。確かにソロで、長いメロディをやらされたりしますが、オーボエ、フルートのメロディに茶々を入れに行ったり、ファゴットと一緒に伴奏したりとかも結構多いです、かえって、そちらがメインなのかもです。でも、吹奏楽とちがって、これがやってみるうちに、結構楽しいのです。また、ときおり、突然、曲芸みたいなソロを吹かされたりもします。吹奏楽で3番クラをやると、時々、オケでやってるっぽい部分が多いので、どっちかというと吹奏楽の3番クラって楽しいと思います。結局オーケストラは面白いです。まあ、やる曲がやる曲ですから、偉大な曲が多いですしね。
ソロで吹く事
オーケストラや吹奏楽でソロをやる事の方が、プレッシャーを感じます。自分が失敗することで曲がぶち壊しになるという恐怖があります。自分の事より、指揮者や、他の楽員に対する責任感でがちがちになることも多々ありますね。でも、これを乗り越えないとさらにその上へは行けませんが、乗り越えるまでに、幾多の失敗があるものです。へこんでは、頑張って自信がめばえて、また失敗して・・の繰り返しです。それに比べると、ピアノ伴奏で一人で吹くなんてのは、緊張はするものの、気楽なもんです。ミスしても、誰にも迷惑かけませんし(聴衆のみなさんはごめんなさい)、まあ、少し落ち込むくらいですみます。それに、指揮者がいないですから、ああしてくれこうしてくれと言われることはないですから、自分の思い通りに吹けます、まあ、レッスンしてもらってる先生の解釈にはしたがいますけどね。
これぞと思った曲など
吹奏楽
ディオニソスの祭り
ギャルドレピュブリケーヌ吹奏楽団の演奏を聴いてから、好きになりました。フランス管の持ち味というか、良いところみんな使える曲じゃないでしょうか。音階も小気味よいし、速いパッセージも音域も、吹奏楽のクラならではの使い方だと思います。一度はやってみたい曲ですが、なんせ楽譜がレンタルだけというのがネック。でも、日本楽譜出版社からスコアが出ています。
ホルスト吹奏楽のための組曲
吹奏楽をやってる人で知らない人はないぐらい有名です。クラの持ち味というか吹きやすい音域で書かれているので、思う存分吹けますね。第一組曲の中間部にでてくるユーホやコルネットの主題の裏で木管が奏でるバロック調の音符たちが好きです。この曲の第二楽章で、短いソロが出てきますが、遅れやすいので気を使いますね。第二組曲はイギリス!ってのが好きです。第3楽章のBlacksmithは鍛冶屋ですが、Whitesmithはブリキ職人、Goldsmith は金細工職人など、いろいろあります。smithは古い英語で職人の意味があります。
リード アルメニアンダンスpart Ⅰ
この曲もクラリネットが面白くてたまらんと思える曲です。特に後半の速くなってからは、まさしく醍醐味ではないでしょうか。アルメニアの民謡をふんだんに取り入れていますが、どうもリードさんは5拍子が好きなようで、原曲は6拍子なのに5拍子に編曲してあります。この作曲者の曲は、速い音の動きが面白い、そんな気がします。
管弦楽曲
ベートーベン 交響曲第6番「田園」
クラリネットの面白い定番の曲です。それは、1楽章から5楽章まで、ずっと花があって面白いです。ベートーベンの5番と6番は初演が一緒でベートーベンの指揮だったらしいですが(この時は交響曲の番号が逆だったようです)、クラリネット奏者としては、同じ時期に書かれた交響曲で、どうしてこう使われ方がちがうのか不思議です。6番以降、クラリネットは重要な使われ方をしていますが、特に、8番の第3楽章のソロ(ホルンとの二重奏ですが)では、高音のFをピアノで吹かなくてはならないという、難題を持ちかけられます。なぜ、クラリネットなのか?疑問ですらありますが、この曲もやりがいがある曲です。
レスピーギ ローマの松より「ジャニコロの松」
これはまたまた、難しい気を使うフレーズ、しかもずっとピアノです。途中ある部分をのぞいてクラリネットが主役なので、やりがいはありますが、非常に緊張します。プロの方でも、あまり小さく吹こうとすると、鳴りきらないことがありますしね。吹奏楽では、終曲のアッピア街道の松くらいしかやらないので、あまり吹奏楽では知られてないですが、全曲聴かないと良さはわかりません。
ブラームス 交響曲第1番 第3楽章 や メンデルスゾーン交響曲第3番 第2楽章
曲の冒頭からクラリネットソロが主役、たまりませんね。気分よく吹くのが一番いいパーフォーマンスになると思います。特にブラームスは一番クラリネットの吹きやすい音域でゆったりしているところが好きです。第2楽章もいいですが、この楽章のほうが断然好きです。スコットランドも気分よく吹けるソロだと思います。
その他いろいろな曲
マーラー 交響曲第1番、ショスタコーヴィッチ 交響曲9番、ボロディン イーゴリ公よりダッタン人の踊り、チャイコフスキー 交響曲第5番、交響曲第6番 悲愴、等々 数え上げたらきりがありません
ソロやデュエット
モーツァルト クラリネット協奏曲と五重奏曲
手短にいうと、この曲たちは吹いてて楽しく、時を忘れます。協奏曲は自筆譜が残っていないのもあって、奏者や出版社によりかなり違います。もともと、バセットホルンのために書かれた協奏曲でもあってか、ザビーネマイヤーや何人もの奏者がこの曲をやるときは、いつもバセットクラリネットを使用しています。第2楽章は協奏曲のほうがシンプルできれいですが、面白いのは5重奏の2楽章ではないでしょうか。合わせにくいなあと思わせる、フレーズも出てきますし、ちょっと複雑で面白いです。
三善晃 彩夢~二本のクラリネットのための
三善晃の世界です。演奏してみると、室内楽をあわせるのは、メトロノーム的ではない!のがわかります。一瞬の間と、同期された呼吸というものです。それと、半音のずれの平行移動、すばらしいと思います。小さな5曲からなっているこの作品を、全曲演奏するのはとても疲れます。シビアです。しかし、すばらしいです。音源としては、浜中浩一&二宮和子 夫婦ペアの演奏が発売されています。一度は耳にされるべきだと思います。
ストラヴィンスキー クラリネットのための3つの小品
超絶技巧の曲。第2曲なんて、拍子記号すらない、たったの2小節!でも、音符の数はハンパないです。この曲をポール・メイエの演奏で聴いて衝撃でした。なんという、跳躍。クラリネットではないような音の響き。ストラヴィンスキーならではのつくり、精巧なつくりですな。一般アマチュアの方なら、一度、挑戦してみられることをお勧めします。
ドビュッシー クラリネットとオーケストラのための第一狂詩曲
さすがに、パリ コンセールヴァトワールの卒業試験のために書かれた曲ですね。技巧的にはむつかしいところが出てきます。それより、彼らしい霧のかかったような、アンニュイな、何とも言えない世界が繰り広げられます。私は、特に好きな曲ですね。若いころ、レコードがあまりなくて、そのころの定番ともいえる、イギリスのジャック・ブライマーの演奏ばかり聞いていました。
この他にも、すばらしい曲たちがいっぱいあって、きりがありませんが、なんでも、好きになって、自分なりに挑戦してみられることをお勧めします、是非!